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【中級】超伝導の世界記録更新!

2016/06/30

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超伝導の記録更新

今回は「超伝導」についての研究を紹介します。

2015年9月、ドイツのマックスプランク研究所などのチームが、硫化水素で203 ケルビン (-70℃)の超伝導をNature誌に報告しました。

今回は、「超伝導ってそもそもなんだっけ?」とそんな話からはじめて、このNature誌に掲載された研究の紹介をしたいと思います。

超伝導とは

電気抵抗ゼロ?

まず超伝導とは何かを簡単に説明します。

超伝導とは、「電気抵抗がゼロになる現象」です。

では電気抵抗とはなんでしたっけ?

電気抵抗は電流の流れにくさの度合いことです。単位はオーム(Ω)。誰もが中学校の理科で学んだはず。

 

電気抵抗についての身近な例を挙げますと、皆さんご存知のように、一般的に金属は電流を流しやすい。それは電気抵抗(電流の流れにくさ)が小さいからです。

そして紙やゴムなどは電気が流れにくい。それは電気抵抗(電流の流れにくさ)が大きいからと考えることができます。

しかし、私たちの身の回りにある金属などの電気を流す物質は、いくら電気を流しやすいといっても、多少なりとも電気抵抗(電流の流れにくさ)が存在しています。そのため、電気を流すには電池などのエネルギーが必要になってくるわけです。

 

ところが、

物質を冷やしていくと、あるとき電気抵抗がゼロになる現象があるんです。

そう、それが超伝導です。

超電導TvsR

超伝導は魅力的?

繰り返しますが、超伝導は「電気抵抗(電流の流れにくさ)がゼロになる現象」。

つまり超伝導の状態では、いったん電流を流してしまえば、永久に流れ続きます

超伝導は1911年に、発見されて以降、物理学の一大分野となりました。

超伝導の実用化への問題

超伝導は、エネルギーなしで電流が流れ続ける。

すごい現象であるということは、なんとなくお分かり頂けたでしょうか。

少しずつ我々の日常にも使われ始めてきました。リニアモーターカーや病院にあるMRIなどはその代表です。
リニアとMRI

実用への問題点

しかし、超伝導の実用化には大きな問題があります。

それは、今のところ低い温度でしか超伝導は発見されていない、ということです。

超伝導を実用化しようと思うと、我々が暮らしているような20℃~30℃(300 ケルビン付近)で超伝導が現れなければなりません。

我々が暮らしている温度での超伝導、これを室温超伝導といいます。

室温超伝導は未だ発見されていませんが、室温超伝導を見つけるべく、これまでに膨大な数の研究がなされています。

 

超伝導の分野の物理学者たちは、より高い温度で超伝導を発見しようと日々競い合ってもいます。

高温超伝導の記録の移り変わり  http://www.riken.jp/pr/press/2010/20100423/ から引用

高温超伝導の記録の移り変わり  http://www.riken.jp/pr/press/2010/20100423/ から引用

2015年硫化水素で高温超伝導の新記録

超伝導は初めて1911年に水銀(Hg)で観測されたときは4 ケルビン (-269℃)と極めて低い温度でした。

研究者たちの絶え間ない努力により高温の記録は更新され、1980年代には100 ケルビン (-173℃)台に突入。

これまでの記録は1994年に報告された164 ケルビン (-109℃)でした。

 

そして、2015年にドイツのマックスプランク研究所などのチームが、硫化水素(H2S)という物質で、203ケルビン(-70℃)での超伝導を観測し、これまでの高温超伝導の記録を更新しました。

実はこの硫化水素(H2S)というのは、温泉に行ったときのいわゆる「硫黄臭さ」の原因となる物質。

 

誰もが知っていた物質が超伝導を示し、さらに現在の記録であるというのは驚きです。

物理学史に歴史を残すであろう硫化水素の超伝導の報告。かなりインパクトのある研究ですが、まだまだ我々の日常からは遠い-70℃。

さらに150万気圧というとんでもない圧力を加えることにより実現しました。これは畳1枚にゾウがおよそ500万頭乗ったときにかかる力に相当します。

 

それでも、すごい圧力下とはいえ、ついに200 ケルビン(-70℃)を超すところまできました。

室温超伝導が発見される日は来るのでしょうか。

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