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【上級】アト秒光源で見た!860アト秒周期の振動

2016/07/11

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2016年4月11日、NTT研究所・東京理科大学のグループにより、

「窒化ガリウムにおいて、860アト秒(アト秒=100京分の1秒)周期の電気的な振動を観測した」

という論文が英科学誌Nature Physicsに掲載されました。

 

注目ポイントは

・固体物質中における観測史上最速アト秒周期の振動を見た

・光に共鳴した超高速な振動⇒アト秒スケールの伝導性制御への期待。

の2点です!

 

1.アト秒の世界

上級2

 

原子や分子の動き(化学反応)はピコ秒(1兆分の1秒)からフェムト秒(1000兆分の1秒)のスケールで起き、物質中の電子の動きはさらに短い時間、アト秒(100京分の1秒)のスケールで起こっています。

物性を高速に制御するには、このアト秒の電子の動きを捉える必要があります。

ただし人間は目の仕組み上、1マイクロ秒以下の短い時間に起こっていることを見ることはできないため、それ相応の手法が必要となります。

 

 

2.アト秒のストロボ

 

アト秒の世界を覗くため、瞬間的に光るレーザーをストロボとして用います。

光は波ですので、波の形で考えてみましょう。

上級3

一般に光は連続波で、常に光り続ける波のことです。

一方、パルス波というのは、瞬間的に光ります。その光る時間をアト秒にすることが近年の研究で可能になってきました。(詳しくは後述)

この光をストロボとして用いることで、アト秒という非常に細かい時間刻みで、モノの動きを見ることができ、実際の観測にも利用され始めています。

 

~脱線!アト秒の作り方~

アト秒のパルス波の発生は、実験的にはアルゴンなどの希ガスに強いパルス波を照射することで起こします。その際に主に起きている現象は3ステップに分けて説明されます。

説明は以下のイラストまでに。

上級4

 

 

では、実際にどんな振動を見たのか説明します。

 

3.アト秒で見た、超高速な振動

 

アト秒周期の振動が見られたのは、窒化ガリウムという物質です。

窒化ガリウムは、光により内部電子にエネルギーを与えることで、電気的に+とーに分かれる、

「分極」が作られることが知られていました。

アト秒パルス波を用いた今回の実験では、その分極が860アト秒周期で振動していることが観測されました。これは固体物質中の振動としては観測史上最速であり、物質中のアト秒の世界を覗けるようになったことを意味します。

上級5

 

では、なぜ窒化ガリウムで高速な振動が起きているのでしょうか。

 

同様の性質を持つ、ヒ化ガリウムという物質と比べて、説明します。

上級6

実は分極を生成するのに必要な光の振動数は、物質によって決まっています。(共鳴周波数)

窒化ガリウムでは、ヒ化ガリウムより悠に高い振動数の光が必要です。

光により誘起された分極は、非線形な効果により照射した光の振動数の3倍で振動することが予測でき、窒化ガリウムではヒ化ガリウムより高速な振動であると期待することができます。

具体的には、振動周期が窒化ガリウムでは860アト秒、ヒ化ガリウムでは2.89フェムト秒と見積もられるのですが、今回の実験で実際に見るで振動周期が明らかになりました。

 

4.アト秒スケールの物性制御の実現へ

アト秒スケールの分極振動が見つかったことにより、原理的にはアト秒スケールで伝導性を制御できることが期待できます。

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現状の半導体では交流電圧を印加することにより伝導性を制御し、その周波数は10ギガHz程度、周期は100ピコ秒です。電圧の印加により、半導体内部のエネルギーを変調することで電子に伝導性を与えているのですが、内部エネルギーの変調スピードには限界があり、動作周波数を伸ばすことが難しくなっています。

一方、を用いた場合、電子のみにエネルギーを与えることができるため、内部のエネルギー変調による律速を考慮する必要はありません。また光との非線形な共鳴現象であるため、超高速な周波数も同時に達成することができます。

 

上述したアト秒スケールの伝導性制御が可能となれば、計算速度は10万倍と予想されます。

 

今回の窒化ガリウムにおける観測は一端であり、まだ知られていない超高速な現象がアト秒の間に起こっているかもしれません。アト秒での物性制御を実現するためにも、今後の「アト秒の世界」を覗く研究に1アト秒たりとも目が離せません。

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-attosec, 上級

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