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photo credit: danielleherreraHuman Genome via photopin (license)

【初級】DNAの新たな使い方、「DNAアプタマー」の可能性!

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「DNAアプタマーという化合物を用いて、狙った細胞運命を誘導する」という論文が発表されました。(2016年、東京大学のグループより)
この技術を発展させることで、再生医療などで注目されるiPS細胞の培養や分化誘導がより高効率かつ安価に行えるようになることが期待されています。
今回はこの「細胞運命を人工的に制御する」技術について紹介します。

今日はDNAアプタマーについて紹介しよう。


DNAアプタマー?
DNAはわかるけど、アプタマーってなに?


アプタマーというのは、特定のタンパク質に対して結合するもののことじゃ。


じゃあDNAアプタマーっていうのは、特定のタンパク質に結合するDNAのこと?


その通りじゃ。


DNAがタンパク質にくっつくの?


そうじゃ。DNAがATGCという4つの塩基というものが繋がってできているのは知っておるな?その塩基の並び順を変えることで、特定のタンパク質にだけくっつくDNAアプタマーを作ることができるのじゃ。

ふうん。あんなグルグルの形でタンパク質にくっつけるんだね。


実はそうではないんじゃ。DNAは塩基の並び順を変えることでいろいろな形にすることができる。DNAアプタマーはこの並び順がうまく設計されているんじゃ。
例えばこんな風に硬い棒状の部分と柔らかい部分が繋がったようなものも作れるのじゃ。


aptamer2

なるほどね!DNAってこんな風にも使えるんだね!


今回の研究では、受容体と呼ばれる細胞の膜にいるタンパク質をターゲットとしたDNAアプタマーを使うことで、細胞の運命を自在に誘導できることを示しておる。


細胞の運命?


細胞が増えたり、動いたり、死んだり、他の細胞に変化したり、といったものじゃ。
こういった細胞の運命を決定するのが、受容体というタンパク質じゃ。
受容体にも色々な種類があるのじゃが、どの受容体にもセットになる特定のタンパク質(リガンド)があり、それがくっつくことで活性化し、それぞれ受容体固有の細胞運命を引き起こすという働きがあるのじゃ。


rtk

わかった!そのリガンドってやつの代わりにDNAアプタマーが使えるんじゃない?


まさしくその通りじゃ!リガンドの代わりにDNAアプタマーを使うことで、狙った受容体の活性化と細胞運命を引き起こすことに成功したのじゃ。


rtk_aptamer DNAアプタマーがくっつくことで受容体が活性化

でも、わざわざDNAアプタマーを使う理由はあるの?その元々くっつくタンパク質じゃだめなの?


もちろんその通りなんじゃが、タンパク質は綺麗に作るのが難しくてのう。作ってもすぐ壊れてしまったり、非常にお金がかかったりするんじゃよ。


なるほどね!


この研究では、ターゲットとしてc-Metという受容体を取り上げておる。この受容体は細胞の増殖などに関わっていることが知られているものじゃ。


じゃあDNAアプタマーで細胞を増やすことができたんだね!


その通り。このc-Metは他にも肝臓の細胞の分化(細胞が機能や形態を変えること)に関わることが知られている。この細胞の分化というのが厄介でな。最近よく話にあがる再生医療では、細胞の分化をうまく操ることが大きな難関になっておる。しかし、このc-Met用DNAアプタマーをうまく用いればより手軽に効率よく肝臓の細胞を作り、増やすことができる可能性があるのじゃ。


いろんな受容体に対するDNAアプタマーができたら、もっといろんなことができそうだね!


そうじゃの。もしかしたら複数のDNAアプタマーを組み合わせて一から肝臓を作る、なんてことができる日がくるかも知れんな。


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-DNAaptamer, 初級