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【初級】ウイスキーをちょっと薄めると美味しくなる!?その仕組みとは?

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メジャーな蒸留酒の一つであるウイスキー。ハイボールブームもあって、スーパーやコンビニでも目にする機会が多いのではないでしょうか?
ウイスキーはハイボールのように炭酸水で割ったり、ロックやストレートなど様々な飲み方で愛されています。

ストレートで飲むようなウイスキー好きの中には、ウイスキーを飲む前にさらに少し薄めると美味しくなるという人が多くいます。「香りが開ける」と表現されたりもします。

なぜウイスキーを薄めると味や香りが良くなるのでしょうか?
スウェーデンのグループがコンピュータシミュレーションによる研究 でその仕組みを調べました。
この研究からわかったことを簡単に紹介します。

うーん、うまい!


博士、何飲んでるの?僕にも飲ませて!


ん、これか?スコッチウイスキーじゃよ。
お酒だから20歳になるまで飲んじゃいかんよー


なんだー。お酒かぁ。。
でもいい香りだね。


じゃろ?
ウイスキーに少し水を加えると香りが広がってより美味しくなるんじゃよ!


そうなんだ!
でもなんで??水で薄めると香りも薄まっちゃうんじゃないの??


普通そう思うじゃろ?何故かは今まで未解明だったんじゃが、
コンピュータをつかったシミュレーションで理由がわかってきたんじゃよ!


へぇ!なんでなの?教えて博士!


理由を説明する前に、ウイスキーは瓶詰めで売られている時点で既に薄められているということに注意しておこう。

ウイスキーは大麦などの穀物を発酵させたものを蒸留してできるんじゃが、蒸留直後はアルコールが70%もあるんじゃ。


そして、それを樽の中で数年熟成するうちにアルコールが蒸発しているうちに55%から65%ぐらいまでアルコールが減るんじゃが、瓶に詰める前にさらに水で40%ぐらいまで薄めるんじゃよ。


売られている時点でもう薄められてるんだね。やっぱり薄めた方が美味しくなるってことなのかな。


そうなんじゃ。薄めた方が美味しくなる理由はウイスキーの風味を出している物質の振る舞いに関係しているんじゃ。


これを見てごらん。ウイスキーは水とアルコール(エタノール)の混ざった液体に風味を出すいろんな物質が溶け込んでいるものなんじゃが、これは特にスコッチウイスキーなどの風味を出す「グアイアコール」という物質じゃ。


Guaiacol

(画像はwikipediaより)

化学式ってやつだね。難しくてよくわかんないや。


化学式自体はよくわからなくても大丈夫じゃ。大切なのは、グアイアコールは揮発性であることと溶液の中でアルコールの近くに集まる性質があるということじゃ。


揮発性って蒸発しやすいってことだよね?それぐらいなら僕にもわかる!


よかった、よかった。

それでは、シミュレーションの結果を簡単な図で説明しよう!


whisky_3

これはアルコールが多い時のウイスキーのグラスの様子を表しておる。
アルコールの分子を小さい粒で表しておるぞ。


なんかアルコールが全体に広がってるね。


そうなんじゃ。そして、アルコールの周りに集まるグライアコールも全体に広がっておる。


whisky_2

次に、これがアルコールが少ない時のグラスの様子を表した図じゃ。


アルコールがグラスの水の表面にだけあるんだね。


そうそう。アルコールが薄くなると表面にだけ残るんじゃ。
そして、グアイアコールも表面に集まる。


なるほど!
表面に集まったグアイアコールが蒸発して広がるから香りが広がっておいしくなるんだね!


そういうことじゃ!
ウイスキーを瓶に詰める前に薄めたり、飲む前に水でちょっと薄めたりするのもこのためじゃな。


あれっ?でもじゃあアルコールが少なければ少ないほどいいの?


単純にそうは言えないと思うぞ。味や香りの感じ方や好みは個人差があるから、自分が一番美味しく飲める濃さを見つけるのが一番だと思うんじゃよ。


他にも、グアイアコールと同じような性質を持つ風味づけの物質として、バニリン(バニラの香り)、酢酸エチル(リンゴやパイナップルの香り)、リモネン(レモンの香り)が挙げられる。これらの物質の風味が強いお酒でも今回と同じようなことが言えるじゃろうな。


ありがとう博士!よくわかったよ!

お酒飲めるようになるのが楽しみだなぁ。


-Whisky, 初級

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