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【2018年ノーベル物理学賞 解説記事】「光ピンセット」とは?

2018/10/12

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2018年のノーベル物理学賞は『レーザ物理の分野における革新的な発明』という功績を称えられ、Arthur Ashkin・Gérard Mourou・Donna Strickland の三名が受賞しました。

その中でも今回は、 Ashkin氏によって開発された『光ピンセット』について、普段光ピンセットを用いて研究しているメンバーが丁寧に解説します。

 

 

今日はノーベル物理学賞の中でも『光ピンセット』の話をしよう!
光ピンセットの簡単な原理と、どのように利用されているのかについての話をするぞ!


前回は物理学賞の「超短パルスレーザ」についての話だったね!楽しみ~!


 

光ピンセットって何?

博士!光ピンセットってどんな技術なの?


光ピンセットはレーザーを使って小さな球(粒子)を自由に動かすことが出来る技術じゃよ。
小さい物を扱うときにピンセットをよく使うじゃろ?光ピンセットの名前には光で作られたピンセットという意味が込められているのじゃ。


size scale

 

レーザーについては前の解説で教えてもらったね!
小さな球を動かせるって言ったけどどれくらい小さな球を動かせるの?


大きさで言うと半径100ナノメートルくらいのものを自由に動かせ事が出来るのじゃ!


100ナノメートルって...1メートルの1000万分の1の大きさだよね!光ピンセットって本当に小さなものを捕まえられるんだね!


size scale大きさの目安

 

博士、そんなに小さな球をレーザーでどうやって自由に動かすの?


レーザーが小さな球を自由に動かす仕組みを知りたいのか?それについては以下のコラムに簡単な解説を入れたぞ!興味があれば見てみてくれ!


はーい!


【コラム:光ピンセットの原理】(上級)

 

光ピンセットの応用:生物研究に用いられる光ピンセット

光ピンセットを使ってどんな研究が行われているの~?何とな~く生物の研究で応用されているって聞いたことあるけど。


君の言う通り光ピンセットは主に生物の研究で用いられているのじゃ。でも、なぜ光ピンセットが生物研究に応用されていると思う?
光ピンセットで自由に動かせる球の大きさがヒントじゃ。


えっと、大体100ナノメートルの物を動かせるんだよね、、、
あっ!100nmって確か、たんぱく質と同じくらいの大きさだよね


そうじゃ!大きさが似ているから、光ピンセット用の球にタンパク質をくっつけることでタンパク質の性質を調べることが出来るのじゃ!タンパク質の性質を調べることが生物研究で大事ということは今までもいろんなところで解説してきたじゃろ?


なるほどね!!光ピンセットはタンパク質の性質を調べられるんだね!それで生物研究に応用されているって意味なのか~


 

光ピンセットを使ったタンパク質の研究例

博士!もうちょっと具体的に光ピンセットを使った実験について教えてくれない?


光ピンセットを用いた研究では主に、自ら動くタンパク質の研究が盛んに行われている!


自ら動くタンパク質?なにそれ?


例えば、私たちの体を構成している細胞の中を覗いてみると、細胞の中でいろんな荷物を背負って細胞の各所に運送しているタンパク質があるんだ。そのタンパク質はキネシンと呼ばれている。


size scale

 

へ~こんなタンパク質があるんだ~!
それで、このキネシンと光ピンセットにどのようか関係があるの?


昔、光ピンセット用の小さな球をキネシンに背負わせて運ばせた研究があったんじゃ。その時の球の動きを追ってみると、なんとステップ状に球は動いていたんだ!


size scaleキネシンが運ぶ球の軌跡
(画像はノーベル財団のホームページより引用・改変)

 

この実験結果をはじめとするいろんな実験から、キネシンは細胞内で人間のように2つの足を交互に前に出しながら歩いていることが判明したんだよ!


細胞内で歩くタンパク質があるなんて知らなかった!なんか不思議だね~。


また、光ピンセットの実験ではタンパク質が出す力も測定することが出来るのじゃよ。


ん?どうゆうこと?


光ピンセットが小さな球をつかむ力とタンパク質が出す力で綱引きをさせるのじゃ。
もし、ピンセットの力の方が強ければ球は光ピンセットにつかまったままになるが、もしタンパク質の出す力の方が強いと、たんぱく質は球をピンセットから取り除いてしまうのじゃ。


size scale

 

なるほど!!綱引きをさせることでタンパク質が出す力を評価することが出来るんだね!


うむ!光ピンセットが球をつかむ力を弱くすると、キネシンが自由に動くことが出来るから、キネシンの動きの観察にむいているのじゃ。
逆に、光ピンセットの力を強くすると、綱引きの実験になり、力の評価に向いているのだよ!


【コラム:キネシンが出す力はどれくらい?】

 

心筋症の原因解明にも使われる光ピンセット

博士!光ピンセットはキネシン以外の研究にも応用されているんだよね?


そうじゃ。キネシン以外にも自ら動くタンパク質はたくさんある。代表的なものは、筋肉を動かすミオシン、精子の鞭毛を動かしているダイニンが有名なタンパク質じゃ。このような動くタンパク質の研究には光ピンセットが必需品なのだよ!


size scale

 

へ~動くタンパク質っていっぱいあるんだね!


そうじゃ。特に最近光ピンセットで注目を浴びている研究は心臓のミオシンの研究じゃ。
心臓の筋肉の病気である心筋症にはミオシンが大きくかかわっていることが知られているんじゃ。
最近は心筋症の心臓のミオシンを使って実験することで、心筋症の原因を分子レベルでとらえる実験が行われているのじゃ。


そうなんだ!心臓の病気って怖いよね。
原因がわかれば、新たな治療薬の開発もできるかもしれないね!
はやく心筋症が治る時代になるといいね!


-Column, ノーベル賞, 光ピンセット, 物理学, 生物学, 生物物理

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