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体内時計1

【中級】体内時計を電気で操る!?

2016/07/08

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2014年、微生物の体内時計を電気で制御することに成功した、という報告がありました。

今回はこの報告について解説したいと思います。

体内時計って何?

「体内時計」という言葉、皆さんも聞き覚えがあると思います。

ヒトをはじめ、多くの生物には体内時計が備わっており、時計を見なくても大体何時ごろなのかを体が覚えているというものです。

この体内時計があるからこそ、昼間はシャキッとして夜は眠くなるわけです。

 

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体内時計を制御する方法

体内時計はかなり複雑なシステムで、なかなか私たちの思ったように制御することはできません。

しかし、多くの生物では、「体内に電子がたくさんあるのか、それともあまり電子がないのか」が体内時計の動きと密接に関連していることが知られています。

 

そこでこの研究では、ある微生物(シアノバクテリア)に電子を注入したり奪ったりしました。

すると、なんとこの微生物の体内時計がきれいに制御できたのです!

電子を注入すると、微生物は昼の時間にいるようにふるまい、逆に電子を奪ってやると夜のようになったと言います。

 

成功のための鍵となる技術

これだけお話しすると、「あれ、意外に簡単に体内時計って制御できるんだな」って思った方もいると思います。

しかし2014年のこの報告まで全く成功例はありませんでした。

なぜなのでしょう。

 

実は微生物を含め細胞を覆う膜は電気を通さず、細胞内に電子を入れたり出したりができないからなんです。

 

こんな問題を克服するべく誕生したのが、PMF(poly(2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine-co-vinylferrocene)と呼ばれる電子キャリアーです。

PMFは、自由に細胞膜を通り抜け、細胞内に電子を入れたり出したりすることができるのです!
PMF電子伝達

昼間なのに眠いなあ、とか、夜になったのに全然寝れずに夜更かししちゃう事ってありますよね。

今回の報告のようにPMFを利用することで、今後私たちヒトの体内時計を制御することも夢ではないかもしれません!

特に、今回の報告では、電気により制御された体内時計は、放っておいても少なくとも3日間はそのままの時計のリズムを保っていたとのこと。

 

不眠症だけでなく、肥満や様々な生活習慣病の原因にもなることの知られる体内時計の乱れも、もしかしたら電気でビビッとやるだけで直せるような時代が来るのかもしれませんね。

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-PMF, 中級